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その『手紙』に込められたもの

手紙手紙
(2003/03)
東野 圭吾

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兄の手紙が、届くたびに、上手くなっていく。

それだけで、僕は泣けた。
いわんや最後の手紙をや。

少しずつ上手くなる兄の手紙とともに、物語は展開してゆく。
主人公の人生は、その兄の存在に翻弄される。

「理不尽だ」と思った。
でもそれは、ある側面では、理不尽ではないのだ。
理不尽だと思うものが理不尽ではなくて、
一見理不尽でないものがものすごく理不尽だったりする。
僕がなにも知らないだけなんだろう、きっと。

「差別だ」とも思った。
客観的に見れば、明らかに差別だろう。
けれど、それは確かに僕自身の中にも存在していて、
しかもそれを完全な「間違い」であり「悪」であると、
断定できない自分も自覚している。
この社会で生きるうえで、避けようのないものなのだろうか。
僕はまだ、「社会」のことを知らなさ過ぎる。

明確な答えは示されないままに、
ひとつの事件が信じられないくらい多くの人々を飲み込む。
多くの人間の人生を狂わす。
次々と、これでもかというくらいに、未来が潰される。
その中で、生まれるものもある。

東野圭吾氏がこの作品で示すメッセージはなにか。
明確にひとつ挙げろと言われると難しい。
それくらい、「犯罪者の家族」というテーマに、
真正面から向き合っている。
多角的な問題を、多角的な視点のまま切り取っている。

真正面から闇に向き合っていることを感じるからこそ、
上手くなっていく「手紙」に胸が詰まり、
兄弟ふたりで母のために剥いた「甘栗」に涙できる。
そんな作品だと思う。



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非公開コメント

けいごさんのブログを読むと、以前読んだ本を読み返したくて仕方なくなります☆
けいごさんのように深く意味を汲み取る読み方をしてみたいです(^_^;)
手紙もう一度読んでみます!

テーマの重たい本は、重たいまま終わらせず、どこかに救いや希望のようなものを持たせてほしいと思ってしまいます。
そういうものが、本当に優れた作品なのだと思います☆

>ともえちゃん

いやいや、別に深い読みができてるわけではないんだけども。。
今回のレビューはまた特に抽象的な表現が多くなってしまったよ。
もっとわかりやすく感想を伝えたいんだけどね…

> テーマの重たい本は、重たいまま終わらせず、どこかに救いや希望のようなものを持たせてほしいと思ってしまいます。

ともえちゃんこそ、深いね(笑)

あのラストシーンに“救い”があるのかどうかはわからないけど、
少なくとも安易に“救い”を提供してはいないと僕は感じました。
そして、そこがいい。
単純に結論付けていないところがひとつの魅力になっている気がする。

最終的に“救い”を見い出すのは読者自信、ということかもしれませんね。


僕もこの本読みました。東野圭吾本人いわく『手紙』を書くにあたって、主人公を加害者の家族ということを理由に徹底的にいじめることを考えたそうです。

道徳的には間違ってると言わざるをえない差別でも、現実社会では他人を差別することで自分を守っているんだなと僕は感じました。

なかなか重いテーマだっただけに読みごたえのある本でした。

僕もこの本読みました。東野圭吾本人いわく『手紙』を書くにあたって、主人公を加害者の家族ということを理由に徹底的にいじめることを考えたそうです。

道徳的には間違ってると言わざるをえない差別でも、現実社会では他人を差別することで自分を守っているんだなと僕は感じました。

なかなか重いテーマだっただけに読みごたえのある本でした。

>じょー君

終盤、主人公のひとつの決断を後押しすることになった、
社長の示した考え方だね。
差別する側に立つことにより、自身の周りへ差別が波及することを回避すること。
加害者の家族に対しても“差別”が与えられることも犯罪者に対する社会的“罰”であり、
それが犯罪の抑止力になりうるということ。
犯罪者の家族に対する差別の存在をはっきり肯定する論理は、
僕にとっても新しい視点でした。

“社会の仕組み”として論理が通っていると感じるけど、
主人公の立場にしてみたらそれは理不尽以外のなにものでもないんだよね。
どうしても逃れられない運命…というか。
個ではどうしようもない“社会の力”に対し、とてつもない恐ろしさを感じます。

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keigo

Author:keigo
試される大地、北海道・札幌在住の大学生。
現在医学部6年目、国家試験に向けて日々勉強中。
趣味は競泳、読書。

心に残ったこと、残しておきたいことを、読書日記を軸に書き留めていきたいと思います。
週2~3回くらいの頻度で更新していきます。
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